介護業界に訪れる2040年問題は2025年問題と同じような印象があるかもしれませんが、問題への対策を進める上では大きな違いがあります。2025年問題では第一次ベビーブームで生まれた団塊の世代が高齢者になるのが特徴です。それに対して2040年問題では第二次ベビーブームで生まれた団塊ジュニア世代が高齢者入りします。この違いだけなら社会課題への対策としても同じような形で良いのではないかと思うのももっともなことです。しかし、以下の2つのポイントが違うために2025年問題に比べて2040年問題はより深刻になると考えられています。
1つ目は高齢者になる世代の居住分布に違いがあることです。2025年問題では団塊の世代が地方に移住して暮らしているケースが多々ありました。過疎化に伴う地方の少子高齢化と相まって問題が大きくなったのが2025年問題の特色です。しかし、2040年問題では地方移住があまり進んでいない状況があり、都市圏での高齢化が著しく進行すると予想されています。東京や大阪などの産業の中心地で労働人口の比率が少なくなり、産業に悪影響が起きるリスクにも対処しなければなりません。
2つ目は2025年問題への対策後の状況でさらなる対策が求められるのが違いです。人生100年時代となって2025年問題で高齢者入りをした人も2040年時点で存命のケースが多いでしょう。高齢者層が交代するのではなく、追加されるのが2040年なのです。既に制度面も2025年問題の対策として整えた上で支えなければならない人が増えるため、解決が難しい問題として認識が広がっています。